フィナステリド
フィナステリドは経口型のAGA（男性型脱毛症）治療薬「プロペシア」の主成分です。少々紛らわしいですが、医薬品は一般名（成分名）とブランド名（商品名）という2つの名称を有するため、名称が異なっても指す対象は同一ということがあり得ます。また、「成分名＋剤型＋含有量＋メーカー名」で構成するという慣例に倣いジェネリック医薬品の名称としても使われており、こちらの方が馴染みがあるという方も多いかと思います。例えばファイザー製のフィナステリドなら「フィナステリド錠1mg『ファイザー』」という具合です。
先発品及び多数のジェネリック医薬品のいずれも、フィナステリドを主成分としているため効果効能に違いはありません。安さゆえかジェネリック医薬品の効果に猜疑的な方もいるかもしれませんが、ジェネリック医薬品が先発品と比較して安価なのは大幅なコスト削減が可能なためですし、効果や安全性についても厳しい審査をクリアする必要がありますので安全性が蔑ろにされることもありません。特にAGA治療薬は性質上長期間の服用が必須であるため、薬価を抑えられるジェネリック医薬品のメリットを最大限に享受することができます。
フィナステリドの効果と服用方法
フィナステリドは5α還元酵素の働きを阻害します。これにより男性ホルモンがAGAの原因であるDHT（ジヒドロテストステロン）へと変換されることを防ぎます。DHTの生産を抑えることでヘアサイクルが正常化され、髪の毛が育ち切る前の細い状態のまま抜けてしまうことがなくなり、AGAの改善に繋がります。フィナステリドのAGA改善効果は非常に高く、実に約98%もの方が効果を実感しています。
フィナステリドは1日1回、1錠を服用します。時間の定めや食事との兼ね合いもないため、自由なタイミングで服用することができます。強いて言えば、血中濃度の安定と服用の習慣化のために毎日決まった時間に服用することをお勧めします。AGA治療薬は地道に服用を続けることで効果を発揮しますので、飲み忘れには特に注意してください。
フィナステリドの注意点
どれだけ早い方であっても最低で約3ヶ月、平均的には半年から1年の服用で効果を実感できると言われています。1、2ヶ月で効果が出なかったからといって服用を中止してしまうと十分な効果が得られません。また、女性の方や未成年の方の服用は認められていません。特に女性の方は経皮吸収を防ぐため錠剤に触れないようご注意ください。成分が血液を介し服用できない方へと渡ってしまうのを防ぐため、フィナステリドの服用中は献血ができません。フィナステリドを服用中の方が献血をするには、1ヶ月の休薬期間を設ける必要があるというのが日本赤十字社の見解です。仮に十分な休薬期間を設けていたとしても、献血の際には事前にきちんと申告をしておくべきでしょう。
フィナステリドの副作用
フィナステリドを服用すると、肝機能障害、ED（勃起不全）、性欲の減退などが起きることがあります。ただし、いずれも1%程度の低頻度であり、特にEDについてはプラセボ（偽薬）群との有意差がみられないレベルなので、一概にフィナステリドとの因果関係を断定できない部分もあります。いずれにせよ、フィナステリドの服用にあたり何かしらの不安がある、あるいは上記のような症状が出てきた気がするといった場合は、処方を受けた医師に相談してみましょう。
フィナステリドの通販・個人輸入代行の危険性
AGA治療薬は服用期間の長さに比例し服用コストも高くなりがちです。対策としてはジェネリック医薬品を活用する他、より安価で薬剤が入手できる通信販売や個人輸入代行サイトを利用する方も多いようです。しかし、インターネットを経由した薬剤の入手には2つの大きな落とし穴があります。1つ目が取り扱う薬剤が正規品でない可能性があること。製薬会社が合同で行った調査によれば、インターネット上で流通している薬剤の約6割が偽物であったとされています。万一偽物を服用してしまった場合、金銭的な損害のみで済む何の効果も持たない偽物であったというのはまだマシな部類で、命に関わる深刻な健康被害を受けてしまったというケースも報告されています。
そしてもう1つが医師の診察を受けられないことです。軽く考えられがちですがフィナステリドはれっきとした医薬品であり、誤った服用方法を続ければ非常に危険な事態を招きますし、健康状態や常用薬の種類次第でフィナステリドの服用自体が認められないことも考えられます。医療機関を受診すればどちらの問題も解決されますので、安いから、お手軽だからと安易にインターネットを頼るのではなく、安全な薬剤を正しい用法・容量で服用するようにしましょう。
